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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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少年の時より死後の「無」の世界に苦しみたりしに今は恐れず
死なむ日の近づけばその恐怖よりおのづと離るる心となるか |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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迂闊にも車道に転びし手の怪我癒え正月七日選歌に掛かる
左千夫先生「願くは私心を去れ」と記されし「阿羅々木」創刊号をゆめ忘るまじ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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花ついばむ鵯(ひよ)を亡き父と見てゐたるかのときを恋ふ幾たびか今に
文鳥飼ひてよるべなかりし十年の吾にたふとき年月なりし |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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幼稚園にて次々言葉を覚えくる今日は「口チャック」「ぢぢ君(くん)」「一日一善」
その母の前にては「おぢい様」と言ひ二人だけになれば「ぢぢ、ぢぢ」と言ふ |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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わが町にも日を経て知られし孤独死あり老老の介護はまだ幸せか
病む妻の介護を尽くしその妻より先に逝きたる友を忘れず |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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西本願寺の財を注(そそ)ぎし中亜の踏査記録つひに手にせり『新西域記』
上下二巻重さはおほよそ十キロか大谷光瑞の自署清らかに |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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思ひつきか節約か子は育ちたる古家に眠ると帰り来たれり
隣室に帰国せし子ら眠る夜半雪となりたり吾も眠らむ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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四十年むかしに君の担任の生徒がわたしの講座にいますよ
人はみな見えぬ絆に繋がりゐるをわが講座に知るたのしからずや |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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誰も言はぬわが生れ日に先がけて寒あやめそして黄梅の花
ふるさとの雨乞の丘より移り来し蕗の薹年どし匂ひ衰ふ |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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みどり淡き地衣まとふ岩を窓に見つつ列車はノルウェーの峡深くゆく
わが窓に日の差し来ればフィヨルドの崖より空に高く虹立つ |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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暮れ初むる街を見下ろし昇り行くクリスタルビューの鮮明となる
夜の灯のこぼるる舗道煌めきて表情変へつつ街を隈どる |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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国の借金一人当り七五○万円わが国の格付けワンランク下げらる
国債の信用度は中国を下回りここにも斯界の差を生じ初む |
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