短歌作品投稿


今月の秀作と選評





えめ

寒き朝インスタントの味噌汁に熱湯注ぎかきまぜており

やわらかに朝日受けいるマンションに布団を叩く音の聞こゆる



小木 尚吾

置き去りの錆びた雨傘がコンビニの前にありしゃがんで吸殻落とす

バスを待ち指を丸めて息を吐く人あり手袋をこする人あり



一寿

僕の想いを白く曇った窓に書く時間がたてば消えてゆくのか



彩霞

自転車に追いついて来て息切らす君の白い手がひどくつめたい

歯の抜けた顔でにこにこと良く笑い手の暖かい病床の叔母



澤 智雄

営業はむつかしいなど考えず僕を売り込むことと思おう

ポスターを何枚も貼って歩いたが予期したような反響はなし



深山 猪手

入院する教授に代はり講義せし一月ぶりのクラスなつかし

昨晩の学生同士の飲み会は荒れたらしけさのしをらしき顔



 小木さん、やや低空飛行。 深山さん、少し調子が出てきた。 えめさん、苦心している。
彩霞さん、素直でいいですよ。 澤君、もっと注意ぶかく。
一寿君のスタートをよろこぶ。 ただ、ここに上げなかった歌に「晴れるだろうか」という意味を「ハレルヤ」としてあるのを見たが、このような「ヒネリ」はいけない。 気取らないこと。 妙な癖がつかないように注意のこと。

 それにしても先月ほめた「すがた君」の歌がないのはどうしたことかな。 まさかこのページからもう卒業したのだなどと思ってはいないだろうね。 歌をみんなに見せて叩かれながら叩かれなが ら行くのが勉強ですよ。ほめられようなどと思って作るのは邪道です。 ともかく、皆さん、「継続が力」です。