短歌雑記帳

アララギ作品評

 新アララギ9月号選歌後記    雁部 貞夫

 集IIIへ採った人々の作品を紹介する。

十五夜の月の出を待つ川土手に子猫寄り来てともに佇む
                   佐藤 知子

 子猫とともに月の出を待つ。何ともメルヘン的な一首。「川土手」の一語がよく働いている。

うやむやに疑惑逸らして閉会す「丁寧に説明を」はもう聞き飽きぬ               三島誠以知

 誰もがこの政治状況に腹を立てているのは周知の通り。結びは「聞き飽きた」とすべきかも知れない。

ロンドン橋たもとの茶房に憩ひたりターナーの水彩画を存分に見て               卜部 圭子

 お子さんの一家がロンドン住まいの作者が久しぶりに渡英した折の連作。お子さんの国際結婚される頃の作品を知っているわれわれ歌友としては、作者の人生の歩みを歌を通して共有しているとも言えそうである。

外カリカリ中プリプリの牡蠣フライ娘の手料理夫に供へぬ
                   松岡 末子

 すでに百歳となられた作者。この前の作に「つぎつぎ食ぶる婿と吾とが」とあり、健啖ぶりが窺われる。百歳に栄えあれ。

南北に分かれ激しく戦ひし古き世の太刀持ち重りする
                   佐藤 素志

 美術館などで刀剣を観る作はよく目にするが、実際にこの作者のように手元に何振りも蒐集して、日頃座右にしている例は稀である。その扱いが堂に入っていることが判る作品。

マフィア化といはるる迄のこの国の政治劣化を総理よ恥ぢよ                  平尾嘉代子 

 この種の歌では断然秀作である。「マフィア化」「政治劣化」の語が働いている。

(平成二十九年九月号より)

(漢字は新字体に、仮名は新仮名遣いに書き換えました。)



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