新アララギ通信

ここには新アララギに関わる情報が、随時書き込まれます。
折々に開いてご覧下さい。
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HP運営委員 大窪和子・小田利文・小松 昶・米安幸子
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【111】運営スタッフの作品   現代短歌新聞8月号よりの転載
2021/8/28(土)19:10 - 金野久子 () <メール送信> 削除

 米安幸子さんは8月でホームページ運営委員を退かれました。
この度、現代短歌新聞に作品五首が掲載されましたので
ご紹介いたします。
 東広島市在住の作者の平和を願うメッセージ性の高い心打たれる作品群です。


 放鳩          米安 幸子


 疎開して被爆まぬかれしわれ老いてサーロー節子氏の講演を聴く

 広島に地獄をみたる君が念(おも)ひ「人間と核兵器とは共存出来ぬ」

 死の街の生き証人きみを乗せ岸へと運びし「ICAN」は船

 核禁条約批准要望書に広島の知事も市長もことし署名す

 八・六の参加国百近し平和メッセージ大いに期待す    平和記念式典

【110】 朝日歌壇より   (朝日新聞2021年7月4日版) 
2021/7/4(日)17:21 - 大窪 和子 () 削除

   うたをよむ コロナ禍の今を詠む        吉川 宏志

 571人が参加した、現代歌人協会編『二〇二〇 コロナ禍歌集』が出た。
  
  気管挿管せむと大きく息づけばファイスシールドたちまち曇る
                          小松 昶
 作者は医師でもある歌人。患者が呼吸できるように管を差し込む。
その作業の緊迫感がありありと伝わる。

  ウィルスを配るがごとく避けられる郵便配達員の子は戸口にて 
                          佐伯裕子
 流行の初期には配達する人が差別されることもあった。その仕事に
就いている子を、心を痛めながら見つめている。

  県外者の我は参列許されず父の葬儀を動画にてみる 田中徹尾
 コロナ禍の前は悲しみを皆で慰め合うことができた。だが葬儀に行けず
人の死を実感できないことも起きている。

  住かより出られざる春さりとても住か失う人多き春 花山多佳子
 家に閉じこもる生活はつらいが、その一方で家を失う人が増えている。
自分のことだけでなく、他者の人生を想像することが、今とても大切だと思う。
 厳しい現実を詠んだ歌を取り上げたが、けしてそればかりではない。

  オンライン会議のために上半身着替えてわたしケンタウロスのよう
                          川島結佳子
 不自由さを嘆くのではなく、新しい日常を好奇心豊かに描いた歌もあるのだ。
このようなさまざまな立場の人々が、今を詠っている。一人一人異なる視点によって
私たちの生きる時代の姿が多角的に記録された一冊になった。
 

 
 

  

【109】「ホームページ通信」について
2021/4/22(木)12:31 - 大窪 和子 () 削除

 このホームページも開設してから20年の歳月が流れました。新アララギの公式サイトではありますが、
これまであまり本誌とは関わりを持たずに、会員である運営委員によって継続されてきました。その間に
このHPをきっかけに入会し、新アララギの会員として各地域で歌を詠み、活躍している方々が多数おられます。
 
今後も運営に関して変更はありませんが、この度、本誌に「ホームページ通信」というささやかなページを
設けました。一回目は今月発売の5月号に載ります。HPの動静を会員に伝え、皆さんが最終稿に提出された作品から
何首かを紹介したいと思っています。分量は1ペ−ジで2か月分の紹介なので、多くを載せることはできません。
また、このサイトで使われているお名前やハンドルネームをそのまま載せることは避けたいと思います。
 
ここで勉強されていて、興味をお持ちの方は発行所にご連絡下されば、その月のものを
お送りしたいと思っております。次回は8月号になります。お知らせまで。

【108】☆☆☆『うた新聞』4月号「卯月作品集」より転載 ☆☆☆
2021/4/8(木)11:53 - 米安 幸子 () 削除

 とつぴんぱらり   雁部 貞夫(新アララギ)

飾るなき媼の歌をよしとする「とつぴんぱらりのぷう」といふ歌

「飾り気なし」と言はば三船敏郎の兵隊帰りの厚き胸板

小柄もて「ゆるしてたもれ」と刻みしは武芸者武蔵に似合はぬ言葉

於通さんは八千草薫あけみは岡田茉莉子にて飾らぬ肌の何と麗はし

煮え切らぬ答へを今日もくり返す首相よダンケルクの撤退決めしチャーチルを見よ          

【107】現代短歌新聞105(2月)号より 今野英山「平行時空(パラレルワールド)」 
2021/2/10(水)13:12 - 大窪 和子 () 削除


 作者、今野英山氏は「新アララギ」の選者、編集長でもあります。かつてこのホームページに
学ばれ、後に本誌に入会して今日に至る氏の作品をご紹介します。豊かな発想による硬質の抒情を
味わってお読みください。ご感想などあれば、掲示板にどうぞ。


    
    平行時空(パラレルワールド)  今野英山

 鬼やらふ鍾馗のねぶた座すままに街練りゆかず鎮もる青森

 恐山の入り口にある赤い橋うた聞こえくる「渡つた人は帰らない」

 灰色の無間地獄をさまよひぬいつかは死なむこの身運びて

 宇曽利湖の汀の白き砂の浜ところどころに血の色まじる

 彼岸にて子供に還る風車赤青黄色がカラカラ回る

 全山が白き手拭にうまるらしあの世の暮らしは涙ぐましも

 彼岸での手拭草鞋あふるるかあるかもしれない平行時空(パラレルワールド)

 死ねば皆お山に行くと人は言ふ今日とりあへず母を探しに

 亡き母の声きく不思議おもひたり吾の知らざる母の苦しみ

 預言者もイタコもこの世のセラピスト神とも死者ともなりてふるまふ

 友の声父母の声は風にのり嫋嫋と聴く賽の河原に

 数多もの地獄もイタコも消えゆきてこの世の不条理見えにくくなる

【106】小松昶歌集『撤退』のご紹介
2021/1/20(水)14:55 - 米安幸子 () 削除

 長年、麻酔科医として働かれた著者の苦悩が凝集する
第三歌集が「現代短歌社」より出版されましたので、
ここにご紹介いたします。 以下帯文より

 コロナウイルス蔓延の前から病院は戦場であった。
 医師の撤退は患者を見捨てることに他ならない。
 だが、撤退しなければ、ときにみずからが深い傷を負った。
 大学が派遣医師の撤退を決めれば、壊滅的な打撃を被った。

  『撤退』自選五首

 三施設に麻酔する吾の感染は直ちに医療崩壊招かむ

 口きかず咳もなさざる亡骸に触れてならぬか消毒するに

 圧・流速曲線をモニターに繰り返し人は穏しく呼吸器に眠る

 集中治療の要は麻酔科と執拗に撤退回避を院長迫る

 幾万の手術の麻酔を担ひしが吾を覚ゆる幾たりありや


  「生涯の師」より三首転載

 二年半の麻酔科研修終へし汝わが許を去る心残して

 ためらはず人に尽くすに努め来し汝にあまたを吾が学びたり

 生涯の師と言ひくれしは汝ひとりふるへる肩をたたき別れぬ


 歌集『撤退』¥2800+税:「現代短歌社」又は「新アララギ」発行所にて 
お求めになれます。

【105】運営スタッフの特別作品「短歌海流」九月号より転載
2020/12/2(水)07:59 - 八木 康子 () 削除

5月よりこのHPの運営委員として的確なアドバイスを下さっている小松昶さんの作品をご紹介します。


「短歌海流」九月号特別作品  小松 昶

・コロナ騒ぎに手術用マスクの不足して替へずに使ふ今日で四日め

・手術の患者は全てコロナの検査せよオペ室スタッフ激しき口調に

・高気密マスクに麻酔を始むれば次第に息の苦しくなりぬ

・気管挿管せむ時荒く息づくにフェイスシールドたちまち曇る

・日に干してマスクを消毒する吾にナースは勧むキッチンハイター

・病院の職員食堂口きかず壁に向かひてひたすら食ひぬ

・三施設に麻酔する吾の感染は直ちに医療崩壊招かむ

・感染拡大急なる大阪の同僚に応援麻酔の休止を告げぬ

・コロナ怖れ歯科の予約をキャンセルす仕事の都合と言ひ繕ひて

・感染の増えゆく大阪に行く娘三つの密は必ず避けよ

・大阪より帰りし娘に耳すます手を洗ひしか嗽はまだか

・遠方の実家より帰り来し妻にそれとなく聞く列車の込み具合

・新型ウイルス怖れてグループレッスンを自粛すフリーのチェリスト君は

・使はずともレッスン室の家賃払ひ如何に暮らすか収入無きに

・オーケストラの臨時雇ひのヴィオラ奏者公演中止の続きて虚ろ

  (注) 一部本誌と重複していますが連作としてそのまま掲載しました。

【104】運営スタッフの作品ー短歌総合新聞『梧葉』より転載します。
2020/11/18(水)13:39 - 八木康子 () 削除

『梧葉』秋号Vol.67  2020 秋
         現代作家新作五首 より

髪を委ねて      大窪 和子

・美容師らの暗号めきしやりとりに髪を委ねて午後のひととき

・パーマ液の匂ふタオルにくるまれて鏡の中のおのれ見て居る

・髪しろく染めゐる若き美容師の身の上話ぽつりぽつりと

・バイク来て郵便ポストに止まる音二階の窓に聞けば降りゆく

・百日紅といふ名を負ひて門(かど)に咲く紅(くれなゐ)の花まさに百日

【103】運営スタッフの作品ー現代短歌新聞より転載
2020/8/31(月)16:47 - 八木 康子 () 削除

現代短歌新聞  7月号 作品特集 「山梨県の歌人」より

ひとりの時          青木 道枝

・オルガンを弾きて暗きにひとりなり心に深し賛美歌の一節
 
・わが膝のみどりごの手に破られしページ色褪せその日のままに 

・細長き窓のひかりの続きいる礼拝堂の扉を閉ざす

・ことばを交わさぬように視線を合わさぬようにマスクの目を伏す

・夕となり夫の弾きいるピアノの音(ね)たどたどとして常なるひびき
                            (新仮名)
     
 
 現代短歌新聞  8月号 作品特集 「神奈川県の歌人」より
 
炎の匂ひ          大窪 和子

・ながく惑ひ言ひ出しかねしことひとつ今夜(こよひ)こころを定めて了へぬ

・フロアーを流るる楽に紛れゆく小さきドラマのときを失ふ
  
・歩みゆくわが影ふいに濃くなりて背を温もりの通りすぎたり

・ポストへの小さき坂みち行きもどり擦れちがひしはマスクの一人

・わが中(うち)のなにが呼ぶのか唐突に炎の匂ひまつはることあり

【102】  『宮地伸一の秀歌』  雁部貞夫著
2020/5/25(月)00:33 - 大窪 和子 () 削除

上記、最新刊の評論集をご紹介します。まず採り上げた作品をぜひお読みください。

 戦後アララギの盛期(昭和三十年代ー四十年代)を支え、さらに平成九年に至り終刊することとなる
アララギ最後の歌人と言ってもよい宮地伸一の精選された昭和期に刊行された三つの歌集から個人的にも
忘れ難い作品を採り上げ、その歌の鑑賞、解説を試みたものである。
 その歌集とは次の三つの歌集である。『街かげの沼』『夏の落葉』『潮差す川』で、
三歌集を合わせると昭和十七年から五十九年までの1149首が収められていることになる。
(「あとがき」に代えて)より。
 
  『町かげの沼』 第二次世界大戦に暗号兵として従軍したときの「セレベス島の歌」より

・星さやけき夜半に出でつつ制海権制空権といふを思ひつ
・海(わた)なかの小島にいまだたてこもり戦ひつづくとききつつもだす
・ワクデ島は白煙に包まれてありといふ涙流れて電文を解く
・吾とともに絶えず居るべき万葉集あるときは悲し生物の如

  『夏の落葉』 45歳であった「妻・康子の入院生活」より

・おのれ励まし夕餉に箸をつけむとす傍にゐて胸迫るなり
・疲れしるき夕べといへど四人の子語れば妻の心ゆくらし
・夜明けにはこほろぎのこゑ聞こゆとぞ妻の臥しゐるこの五階まで
・子らのためあと十年は生きたしと妻のいふとき涙あふれぬ

  『潮差す川』 「妻亡き後の四年、昭和五十五年の歌」より

・葦原も潮差す川も夕映す行々子のこゑ高まるときに
・はちきれむばかりにふくるるわが鞄歌稿答案いづれをば見む
・冬山の遭難幾つも伝ふる声聞きてかまわず汝の出で行く
・ほこりかに汝は告ぐ元日の山頂に星消えし後のオレンジ色の空

 宮地伸一氏には5冊の歌集のほかに『歌言葉雑記』『歌言葉考言学』という日本語を検証した
論文集がある。過日このホームページでもこの2冊から抜粋して「短歌雑記帳」に掲載していた。
長年、教員を務められると同時にアララギ、新アララギの代表的な歌人の一人であった。
平成23年、91歳にて逝去された。

発行所  現代短歌社
     〒171-0031 東京都豊島区目白2−8−2
     п@03-6903-1400
     定価 ¥2,000
     


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