新アララギ通信

ここには新アララギに関わる情報が、随時書き込まれます。
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【106】小松昶歌集『撤退』のご紹介
2021/1/20(水)14:55 - 米安幸子 () 削除

 長年、麻酔科医として働かれた著者の苦悩が凝集する
第三歌集が「現代短歌社」より出版されましたので、
ここにご紹介いたします。 以下帯文より

 コロナウイルス蔓延の前から病院は戦場であった。
 医師の撤退は患者を見捨てることに他ならない。
 だが、撤退しなければ、ときにみずからが深い傷を負った。
 大学が派遣医師の撤退を決めれば、壊滅的な打撃を被った。

  『撤退』自選五首

 三施設に麻酔する吾の感染は直ちに医療崩壊招かむ

 口きかず咳もなさざる亡骸に触れてならぬか消毒するに

 圧・流速曲線をモニターに繰り返し人は穏しく呼吸器に眠る

 集中治療の要は麻酔科と執拗に撤退回避を院長迫る

 幾万の手術の麻酔を担ひしが吾を覚ゆる幾たりありや


  「生涯の師」より三首転載

 二年半の麻酔科研修終へし汝わが許を去る心残して

 ためらはず人に尽くすに努め来し汝にあまたを吾が学びたり

 生涯の師と言ひくれしは汝ひとりふるへる肩をたたき別れぬ


 歌集『撤退』¥2800+税:「現代短歌社」又は「新アララギ」発行所にて 
お求めになれます。

【105】運営スタッフの特別作品「短歌海流」九月号より転載
2020/12/2(水)07:59 - 八木 康子 () 削除

5月よりこのHPの運営委員として的確なアドバイスを下さっている小松昶さんの作品をご紹介します。


「短歌海流」九月号特別作品  小松 昶

・コロナ騒ぎに手術用マスクの不足して替へずに使ふ今日で四日め

・手術の患者は全てコロナの検査せよオペ室スタッフ激しき口調に

・高気密マスクに麻酔を始むれば次第に息の苦しくなりぬ

・気管挿管せむ時荒く息づくにフェイスシールドたちまち曇る

・日に干してマスクを消毒する吾にナースは勧むキッチンハイター

・病院の職員食堂口きかず壁に向かひてひたすら食ひぬ

・三施設に麻酔する吾の感染は直ちに医療崩壊招かむ

・感染拡大急なる大阪の同僚に応援麻酔の休止を告げぬ

・コロナ怖れ歯科の予約をキャンセルす仕事の都合と言ひ繕ひて

・感染の増えゆく大阪に行く娘三つの密は必ず避けよ

・大阪より帰りし娘に耳すます手を洗ひしか嗽はまだか

・遠方の実家より帰り来し妻にそれとなく聞く列車の込み具合

・新型ウイルス怖れてグループレッスンを自粛すフリーのチェリスト君は

・使はずともレッスン室の家賃払ひ如何に暮らすか収入無きに

・オーケストラの臨時雇ひのヴィオラ奏者公演中止の続きて虚ろ

  (注) 一部本誌と重複していますが連作としてそのまま掲載しました。

【104】運営スタッフの作品ー短歌総合新聞『梧葉』より転載します。
2020/11/18(水)13:39 - 八木康子 () 削除

『梧葉』秋号Vol.67  2020 秋
         現代作家新作五首 より

髪を委ねて      大窪 和子

・美容師らの暗号めきしやりとりに髪を委ねて午後のひととき

・パーマ液の匂ふタオルにくるまれて鏡の中のおのれ見て居る

・髪しろく染めゐる若き美容師の身の上話ぽつりぽつりと

・バイク来て郵便ポストに止まる音二階の窓に聞けば降りゆく

・百日紅といふ名を負ひて門(かど)に咲く紅(くれなゐ)の花まさに百日

【103】運営スタッフの作品ー現代短歌新聞より転載
2020/8/31(月)16:47 - 八木 康子 () 削除

現代短歌新聞  7月号 作品特集 「山梨県の歌人」より

ひとりの時          青木 道枝

・オルガンを弾きて暗きにひとりなり心に深し賛美歌の一節
 
・わが膝のみどりごの手に破られしページ色褪せその日のままに 

・細長き窓のひかりの続きいる礼拝堂の扉を閉ざす

・ことばを交わさぬように視線を合わさぬようにマスクの目を伏す

・夕となり夫の弾きいるピアノの音(ね)たどたどとして常なるひびき
                            (新仮名)
     
 
 現代短歌新聞  8月号 作品特集 「神奈川県の歌人」より
 
炎の匂ひ          大窪 和子

・ながく惑ひ言ひ出しかねしことひとつ今夜(こよひ)こころを定めて了へぬ

・フロアーを流るる楽に紛れゆく小さきドラマのときを失ふ
  
・歩みゆくわが影ふいに濃くなりて背を温もりの通りすぎたり

・ポストへの小さき坂みち行きもどり擦れちがひしはマスクの一人

・わが中(うち)のなにが呼ぶのか唐突に炎の匂ひまつはることあり

【102】  『宮地伸一の秀歌』  雁部貞夫著
2020/5/25(月)00:33 - 大窪 和子 () 削除

上記、最新刊の評論集をご紹介します。まず採り上げた作品をぜひお読みください。

 戦後アララギの盛期(昭和三十年代ー四十年代)を支え、さらに平成九年に至り終刊することとなる
アララギ最後の歌人と言ってもよい宮地伸一の精選された昭和期に刊行された三つの歌集から個人的にも
忘れ難い作品を採り上げ、その歌の鑑賞、解説を試みたものである。
 その歌集とは次の三つの歌集である。『街かげの沼』『夏の落葉』『潮差す川』で、
三歌集を合わせると昭和十七年から五十九年までの1149首が収められていることになる。
(「あとがき」に代えて)より。
 
  『町かげの沼』 第二次世界大戦に暗号兵として従軍したときの「セレベス島の歌」より

・星さやけき夜半に出でつつ制海権制空権といふを思ひつ
・海(わた)なかの小島にいまだたてこもり戦ひつづくとききつつもだす
・ワクデ島は白煙に包まれてありといふ涙流れて電文を解く
・吾とともに絶えず居るべき万葉集あるときは悲し生物の如

  『夏の落葉』 45歳であった「妻・康子の入院生活」より

・おのれ励まし夕餉に箸をつけむとす傍にゐて胸迫るなり
・疲れしるき夕べといへど四人の子語れば妻の心ゆくらし
・夜明けにはこほろぎのこゑ聞こゆとぞ妻の臥しゐるこの五階まで
・子らのためあと十年は生きたしと妻のいふとき涙あふれぬ

  『潮差す川』 「妻亡き後の四年、昭和五十五年の歌」より

・葦原も潮差す川も夕映す行々子のこゑ高まるときに
・はちきれむばかりにふくるるわが鞄歌稿答案いづれをば見む
・冬山の遭難幾つも伝ふる声聞きてかまわず汝の出で行く
・ほこりかに汝は告ぐ元日の山頂に星消えし後のオレンジ色の空

 宮地伸一氏には5冊の歌集のほかに『歌言葉雑記』『歌言葉考言学』という日本語を検証した
論文集がある。過日このホームページでもこの2冊から抜粋して「短歌雑記帳」に掲載していた。
長年、教員を務められると同時にアララギ、新アララギの代表的な歌人の一人であった。
平成23年、91歳にて逝去された。

発行所  現代短歌社
     〒171-0031 東京都豊島区目白2−8−2
     п@03-6903-1400
     定価 ¥2,000
     


【100】内田弘歌集『漂泊の街』のご紹介
2020/5/21(木)13:12 - 八木 康子 () 削除

 先ごろまでこのHPでアドバイザーとして取り組んでいただいた内田弘さんが『いりの舎』から上梓された歌集『漂泊の街』をご紹介します。
190万都市札幌に住み、めぐる四季や日常を、つぶさに、老いからも目を逸らすことなく詠む第五歌集、きな臭くなる現状、原発事故の放射能にも視点を据えた意欲作です。

・滴りて光を受ける氷柱が北の庇で今日も太りぬ

・子らの足が兎のように跳ねたから消さずにおこう今年の初雪

・沈みいる心のままに夕茜見上げています今日の余白に

・人と時間が行きつ戻りつ地下街の吾はいつも漂泊のなか

・蛍烏賊を食いたる後を巷ゆくネオンの酒場に我らも光れ

・目の前で楓の広葉が落ちたからドキッとしたぜ罪もないのに

・階段に躓き思わず声を出す子泣き爺が笑っているぞ

・人前に晒す社に願い札が七月の風にひらり反転

・錆びてゆく瓦礫の束が雨に濡れ瞬時に光る彼岸の朝は(フクシマ)

・平成の凧は次第に右傾して共謀罪の罠に嵌まるか


                    歌集発行所 いりの舎

〒155-0032 東京都世田谷区代沢5丁目32-5 シェルボ下北沢403
                     電話: 03-6413-8426

                    定価 2500円+税



【99】☆☆☆ 雁部貞夫自選歌集刊行のお知らせ
2020/2/21(金)15:37 - 米安 幸子 () 削除

☆☆☆ 雁部貞夫自選歌集『わがヒマラヤ』オアシス・氷河・山々 ☆☆☆  
 
 このたび上記の歌集が青磁社より刊行されましたのでお知らせいたします。以下 帯文より
 

    ヒマラヤ山岳詠(西域詠)の金字塔!

  雁部作品の真骨頂は山岳詠。肉体の限界、晒される魂。命を天空にひっかけに行くという
 行為を、よくぞ歌の姿に収めた。生の横溢がびんびんと伝 わってくる。
 作品群自体が大きな山脈だ。   
                                本多 稜「解説」より

既刊の五歌集より千余首を集大成し、原著に併載の紀行文も原型のまま収録した。                   
                                

*******************************************

       崑崙行 (一九八五年)

  フェルト積む駱駝追ひ来し少年と煙草喫ひ合ふ湖に下りき
  草原に寝そべり笛吹く少年にたまゆら我が子楼蘭思ふ
  行方絶ちし友らの名をば呼ばひつつ凍てし氷河にひとり立ちゐつ
  氷河のいづこにいかなる言葉交しけむ命のきはを知る人もなく
  ともに行きしヒンズー・クシュに君ら果てひとり我が見る崑崙の雪
  携へし写真の中の友も見よ湖囲み氷河の輝く山を
  ケルン積みかの日の写真納めたり崑崙の雪輝く真昼
  さやうなら(ハラ・ホーシュ)と我に声かけ馳せ行きぬ白銀打ちし馬具光りつつ
  若ければ競ひのぼりし篠懸(チナール)の太き残りていま友らなし
  弾力保つザイルも靴も二十年前のまま空気乾けるこのオアシスに
  このオアシスに君の残せる氷斧あり二十年へて保つ光りか
  亡き君のハーケン一枚拾ひ上ぐゲスト・ハウスの崩れし跡に


         山雨海風  (抄)

        韃靼蕎麦

  朝まだき十勝の川の岸に出づ水勢へる大河の姿
  二、三本莨吸ふ間も晴るるなし狩勝峠の霧にぬれゐる
 「山女魚鮨売る」と文明詠みしはこの駅かいま新得は蕎麦の町なり
 広々と畑あり韃靼蕎麦が咲くヒマラヤ高地に会ひし紅の花
  深田先生辿りし山ぞトムラウシわれは硫黄の湯を浴みしのみ
 トムラウシ、二ペソツ、ピリベツ、ウペペサンケ北の山の名とりどりによし


       B.ブット女史を悼む

 死者出でし演説会と聞きて胸さわぐ次ぎて告げくる君は死せりと
 演説終へし女史待ちゐしは銃の弾(たま)警備手ぬるしと現地の友は
 直線的思考と行動激しき国に何故いのちを惜しまざりしや
 死に体の軍事政権捨ておけと友に託せるメールもむなし
 郵便を送るは危険(デンジャラス)と弁護士の友出国す行方を告げず
 民衆の前に出づるが責務とぞオアシスに会ひし少女は首相たらむと

【98】『大和くにはら』小谷稔先生 最終歌集のご紹介
2020/2/9(日)11:42 - 八木 康子 () 削除

 平成28年から亡くなられるまでの3年間の作品を、奥様が編者として上梓されました。
改めて、しみじみと、アララギ本流の最後の一人と言われる所以を感じつつ、鑑賞しました。

・秋篠の道に懐かしき柿の実のいつまでもあれ青実ころがる

・蝋梅にからまる芋の蔓の葉の黄に透きとほる一つ連なり

・水に浸す切干し大根ほとびしを煮つつ匂ひに蘇るもの

・金繰りに苦しみし父わがためのクレヨンも半紙も上質なりき

・果樹植ゑよと亡き母言ひき花を見るゆとりなかりしその一生にて

・庭梅は若葉となりぬ衰へし枝を隠して庇ふもあはれ

・老いの血のめぐり促す玉葱を今年も二百軒端に吊るす

・喘ぎつつしのぎし暑さ忘れよと大根の双葉の列瑞々し

・平成九年アララギ潰え秋海棠はその秋迎へて庭に咲きつぐ

・薬剤の副作用にて喉渇きふるさとの天然水ひたすら恋し


 このページの【91】にも★追悼・小谷稔★として、米安さんが<短歌現代2月号 小谷 稔 追悼特集>を紹介し、その中から≪小谷稔三十首・倉林美千子選≫より11首を転載しています。合わせてお読みいただけたらと思います。

【96】『三宅奈緒子全歌集』 刊行のご紹介
2019/12/30(月)16:55 - 米安 幸子 () 削除

先頃刊行されました 『三宅奈緒子全歌集』 より

   未刊歌集『井の頭の道』  
         「亡き妻への」( 一連一五首より抜粋)

  亡き妻へのオマージュと画(か)きし薔薇アネモネあふるる花の下に君立つ
                              長森聡氏個展
  つねにかたへにあでやかにゐし人は亡く個展会場に今日きみ一人

  くれなゐに黄に色彩のあざやけしおのがいのちを励まさむため

  「激しい人でした」亡きを言ひつつつくづくと終りし二人の径(みち)を回顧す

  「印象に残る人でした」ホスピスの日野原医師にゆくりなく会ふ

  パリ晩秋の舗道に立てる光代さん表情穏やかにこのポートレートよ

      (長森聡氏・光代夫人 共にアララギ会員 夫人は選者でもあった)

  亡き母の縁(えにし)に宿る安曇野にこの年も来て松の風聞く

  春蝉の鳴きしきる林ゆるやかにとき移りわれは杖にゆきゆく

  毛布かさねてなほ夜は寒き五月尽林の家にしばしばも覚む

  この小さき山荘に宿りくれし友一人亡く一人は癈ひしをおもふ

               


  三宅奈緒子 --------- 人と作品小谷  稔


 三宅さんは短歌とともに長く生きたがその間に土屋文明、小暮政次、両親、

夫君など恩を受けた人たちをあの世に送った。詠むことは少なかったが敬虔

なクリスチャンでもあった。

 三宅さんについて是非とも敬意をこめて記したいことはアララギ終刊に対す

る真剣な執拗な抵抗である。同席の委員らの重苦しい沈黙の中にあって三宅さ

んは毅然として存続を訴えやまなかった。その会議に同席して恥ずかしくも私 

は終刊やむなしと観念していた。

  追ひすがり言へることばも悉く退けられて会終りたり  『春の記憶』

  沈黙の座のうち愚かに言ひ募(つの)りつのりしときを忘れざるべし

 このアララギ終刊の編集委員会にアララギを最後まで守ろうとした三宅さん

のひたむきな情熱を支えたものは何か。それは言葉に置換できるものではない

が戦中の青年期から己を形成した根源のもの、自分の人生のすべてを投じて生

き方そのものを学んだアララギの理念と輝かしい実績であった。

  (「新アララギ」二〇一七年十一月号・三宅奈緒子追悼特集 所収)より
   最後部を 抜粋
 

【95】「令和の海」に追補
2019/7/14(日)13:58 - 大窪 和子 () 削除

現代短歌新聞より転載

くらはやしみちこ
1934年 京都に生まれる。1955年「アララギ」に入会。
現在「新アララギ」選者、編集委員。
歌集『風遠く』により、第十四回島木赤彦文学賞受賞。
歌論集に『風の軌跡』等。

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