1、目の前の自分のアパート見えぬがに背筋真直ぐに母の過ぎ行く 2、妻誘いハワイの自転車レースへと賀状に笑みし君の訃届く 3、布切れに子の名を書いて縫い付ける娘の春の吾にもありき
1. 咬まれても猫は犬よりかわいいと時間外にて診し人の云う 2. ふるさとより黄砂運びて吾を呼ぶ弥生晦日にさくら散らして 3. ふるさとに帰らむ朝に丘に立つ黄砂にかすみて街涙するごと 4. 朝霧の上に浮きたる備前富士「これからよろしく」吾は帰り来ぬ 5. リクルートスーツの君らと並び立つ吾は老医の仲間となりて
1.キジ鳩の運びし種より芽生えしか羊歯の後ろに若木伸び来る 2.みずみずしき木の葉がシダに似ていればファーンツリー(羊歯の木)と呼ばれいるらし 3.ブランコの高さでありし椰子の木は緩き曲線空に伸ばして 4.毎冬をハワイ諸島に過ごしいるコレアは五月に北へ飛び立つ 5.ワクチンの接種終れば家篭る日々を放たれ飛びて行きたし
1.検査数値を良しと言われた母と見るコロナ速報過去の最多に 2.抗癌剤治療の母を看護師に託して我は新アララギを読む 3.オプジーボを無駄だと嘆く男あり待合室の看護師に向かいて
3.オプジーボを無駄だと嘆く男あり看護師に向かう待合室で
2. 白く張る襦袢の襟に裳裾まで精気溢るる立ち居振る舞い 3. 抹茶には秘薬ひそむかお師匠は物に動ぜぬ静心持つ 4. 師の立ち居に母の姿が重なりぬ畳を滑る足袋の音まで 5. 師と共に窓開け放つ茶室にて正客は風花の香運ぶ
お願いします。 誕生日に皆から届くオメデトウは何度聞いても心地よきもの 蜜蜂はオシベの森に潜りこみ花粉にまみれて蜜採りに励む 帰り道アフガンなのと言う友は色白丸顔我らに似たり
3.オプジーボを無駄だと誹る男性あり神よもう誰も連れていかないで 5.なぜ政府は緊急事態宣言を発しないのか歯がゆく思う
1 少年が横断歩道を渡り切り下げし頭に桜散りくる 2 朝まだき住宅街の屋根の上に鳥らの恋の声かまびすし 3 源じいは春田に立てば腰延ばし心通わすヤンマー農機 (大変失礼致しました。高齢、痴呆あり。集中力不足です。お許しのほど・・。)
1,晴れた夜の星があかるい喜びを山地に育つ友は知らない 2,帰り道あれは満月なのかなと並んで歩く友いる嬉しさ 4,暖かき郷の桜は満開と電話に聞きつつ五分咲きを見る
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