1車椅子娘が押しくれてゴッホ展一絵一絵を順に巡れり 2ゴッホ作「草地」に生えし草花の色も多様にしなやかに伸ぶ 3ゴッホ作「麦わら帽子のある静物」優しい色に白の光りて 4ゴッホ作「夜のカフェテラス」星々の煌めき冴える蒼き夜空に 5長月は義母と実母の逝きし月十日を違え命日の来る
1、一粒を落として膝と床を見る飲まねばならぬ薬の行方 2、シャンプーもシャワーさえも人任せ九十二才の女王気取り 3、食細くなったと言いつつ別腹は九十過ぎても現役で 4、予約表病は読まずにやって来る昔の医師の鞄なつかし 5、病院は病人作って帰すとこ菌は殺すが人は半病人
1. その昔見舞いに通った空港線今日はその先の駅へと向かう 2. 売上を上げてくれればそれで良い社長からのいきなりフック 3. 展示会営業パンフ今のところそれくらいしか思いつかない 4. 何事もなかったように更新のクレジットカードを使い始める 5. 懸案の終わってしばし臥せっても良い時期となるしばし休まむ
1窓の外光溢れる朝が来てついに今年の梅雨もあけるか 2為政者の声勇ましくも戦争で死にゆく弱きものら声なく 3介護など辛き仕事は外人にやらせりゃよいとはこの国危うし
1.蕪島の岩の上にはウミネコ埋まり入り江に沿ひて無数に乱舞す 2.ウミネコら神社あたりも我が物顔に石段にまで巣作り数多 4.大間から荒るる海峡まぢかに見て狙ひのマグロをランチに食す
1 窓の外光溢れる朝が来てついに今年の梅雨もあけるか 2 地球とは十万年単位で生きるらし人の栄華も一瞬にして
1田植え済み吹く風もなく光る田に逆さまの富士鮮やかに見ゆ 2転びたる我を支えて起こしくれる夫に縋りてようよう立ちぬ 3利用者の持ち来たりしと紫陽花の「隅田の花火」淡き水色
1. 甘えたき心を隠し生き来たり今は寄りかかる肩が嬉しい 4. 目覚めればもう寝る時間の来ておりて時計の針だけ元気に走る
 5. 九十二年連れ添い来たる我なれどいまだ知らざる我に会ひたり
1. 電話して忘れぬうちに入力しこれでいったいいくらになるや 2. ひょっとして首の痛みはテレアポかヘッドセットをネットに探す 3. 事業所をあちらこちらと梯子して虫に刺されるそんな感じか
1 我と話す受話器を夫が当てたと聞く冷たくなりしエンゾの耳に 2 追い返し追い返してもついて来た安楽死とは知らぬ息子よ 3 小二には理解しがたい結末に黙して泣きて火葬を終えぬ
〔更新〕〔終了〕
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