1.四十年前住みしアリゾナのアパートはグーグルマップに今も変わらず 2.懐かしきアパートからのすぐそばに当時なき電車のレール伸びけり 3.真暗闇のアリゾナ砂漠へ友らと出かけハレー彗星間近に見えし 4.近くから群るるコヨーテの声聞きて慌てに慌て車へ戻りき 5.在米中同じラボでの黄(ホワン)君と四十年後の今も親交
1 きみのこともっと知りたい知ったならきみに近づくような気がする 2 数学の問題を解いていくようにわかればよいなきみの心も 3 永遠にすれ違っては追いかける吾(あ)ときみのようサインコサイン 4 雨がなくダムの水面に沈みたる木々の梢か枯れ枝の見ゆ 5 水平線より揺らぐ光も弱まりて熟柿のように沈む太陽
1、s夢に見たハワイを終の棲家にし92歳に春風が吹く 2、夕陽落ち早いねと笑い犬を抱くハワイの冬は老いに優しい 3、終の友百歳にして身罷りぬ戻り来ぬ日をハワイに嘆く 4、ため息を潮に混ぜればすぐ消るハワイの冬で老いが助かる 5、山あいの庭に育てし木の影がわが九十路を静かに包む
1葉の陰の枝に連なりふくふくと房の垂れたる蕾のアセビ 2弟の育てしミカン滴りて〈はるか・文旦〉味わいて食む 3夫の押す車椅子より梅祭り名残の花を見ながら話す 4松山に春を告げ来る「お椿さん」弟夫婦詣でしと言う 5何年も外国籍の子供らを指導す友の心配はヘイト
1葉の陰の枝に連なりふくふくと房の垂れたるアセビの蕾 2弟の育てしミカン滴りて〈はるか文旦〉味わいて食む 3車椅子夫が押しくれ梅祭り名残の花を見ながら話す 4松山に春を告げ来る「お椿さん」老若男女集いしと云う 5何年も外国籍の子供らを指導す友の心配ヘイト
1 東南の角地に建てたる家なれば窓から光溢れる居間よ 2 吹き抜けより光差し込むきさらぎに三人それぞれ過ごすひととき 3 梅見月晴天続き水を撒き庭木の安堵の声が聞ゆる 4 日を浴びてオレンジに輝く庭の蜜柑今食べ頃と言わんばかりに 5 母とよく共に作りしマーマレード一人で剥いて煮詰める夕暮れ
1. 空からは雨の土曜日とぼとぼと出かける価値はあると信じよう 2. 水筒に水を忘れる一週間ぶりの仕事に記憶も浅い 3. 待たないで駅まで歩く決断は正しかったかバスは来たらず 4. 聞くだけのセミナーだけど聞き逃したくないセミナー電車遅れる 5. 千葉迄を往復したり手ごたえはなくて変わらず遠い場所なり
2 大寒波いすわる空にありてなおオレンジに燃ゆる大き雲あり 3 冬至過ぎ次第に陽ざしは強まりて煌めく海は春待つごとく 4 エントランスに光溢れて佇めば立春近き風吹きわたる
1松明けて久々に会う義兄(あに)義姉(あね)は年を重ねて更に朗らか 2お土産に松山銘菓一六(いちろく)のタルト渡せばきょとんとされる 3キビナゴの丸寿司思えば口の中雪花菜の味の甘さ広がる <おからを包んでつくる郷土料理>
1、二十歳下の相棒吾よりも大人の顔して常識を説く 4、理屈より今日の心地を信じ切るその背中見て老いを忘れる 3、無造作に靴を脱ぎ捨て昼の椅子に居てくれるだけで心休まる
〔更新〕〔終了〕
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